織恵的パートナーシップ番外編/"パティスリーotto”
恋人のように仲良し、でもなく、感謝の気持ちも定期的に忘れ、お互いの欠点は今だに罵り合い、言いたいことはめんどくさいからもはや言わない。
見事、世の中でいう
「いい夫婦ランキング」の逆を闊歩しつつ、なんとか結婚26年目を迎えた夫婦の妻の方が語る
「ラブじゃない夫婦だけど、なんだかんだやってこれた話」
読んでくれた人がちょっと肩の力が抜けてくれたら嬉しい。
織恵的パートナーシップ番外編。
▶︎織恵的パートナーシップ番外編/“パティスリーotto”
週末出張から戻ると、
決まって冷蔵庫にタルトが入っている。
それは
無花果タルトだったり、
ブルーベリータルトだったり、
りんごタルトだったりする。
タルトじゃない時は、
スイートポテトだったり、
てかてかに光った大学芋だったりする。
それは全部私の大好物で、
それは全部夫が作ったものだ。
一から生地を焼いて、
丁寧に果物を切って、
りんごを煮詰めて、
夫は私のためにタルトを焼き、芋をこす。
ちょうどいい甘さの時もあれば、
めちゃくちゃ甘い時もある。
一口口に入れると、
ほろほろと解ける時もあれば、
おかきみたいに硬い時もある。
今回のタルトはどうかなー。
私はいつも、
夫が片手にボールを抱いて、泡立て器でかき混ぜている姿を想像しながらタルトを食べるのが好きだ。
「夫くん、
定年を迎えたらケーキ屋さんやればいいよ。
きっと人気のケーキ屋さんになるよ。
すごく美味しいから。
名前は、パティスリーottoね。」
私の大好物を載せた、
私だけのタルトケーキ。
きっと今週末も彼はスーパーで
私のためにサツマイモを選りすぐっていることだろう。
▶︎織恵的パートナーシップ番外編
“パティスリーotto“